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BAのAIだから「馬場あい」。Backlogで動くAIエージェントを実案件へ

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川端テクニカルグループ/第1テクニカルチーム(ビジネス・アーキテクツ)

2026年にビジネス・アーキテクツに入社。フロントエンドエンジニアとしての開発・運用を主に担当。

生成AIの活用が広がる中、AIエージェントを実際の業務に取り入れる動きも進んでいます。日本マイクロソフトによると、2026年7月時点で、日経225を構成する企業の87%がAIエージェントを業務で活用しているといいます※1。

文章の作成や要約といった生成AIの利用にとどまらず、AIに実際の作業を任せ、業務プロセスの中で動かす段階へと使い方が広がっています。

では、AIエージェントを実際の業務に組み込むと、どこまで仕事を任せられるのでしょうか。

Business Architects(以下、BA)でも、Webサイトの運用・保守をはじめとする実案件でAIエージェントを取り入れています。そのために開発したのが、普段使っているBacklogから仕事を依頼できるAIエージェント「馬場あい」です。

この記事では、「馬場あい」がどのように動くのか、人とAIの役割をどう分けているのか、実案件で使うためにどのような仕組みにしているのかをご紹介します。あわせて、実際の利用から見えてきた効果の一部も紹介します。

※1:日経 225 企業の 87 %が AI エージェントを活用 - Source Asia. 日本マイクロソフト. (参照 2026-10-06)

BAのAIだから「馬場あい」。Backlogで動くAIエージェントを実案件へ

AIエージェントとは?

AIエージェントについては、すでにご存じの方も多いと思います。ここでは細かな技術論には立ち入らず、生成AIとの違いだけ簡単に整理します。

AIエージェントとは、与えられた目的に応じて必要な手順を考え、外部のシステムやツールを使いながら作業を進めることができる仕組みです。文章の作成や要約、画像の作成、質問への回答などを得意とする生成AIに対して、AIエージェントは、その先にある調査や更新、システム操作など、実際の作業まで担える点に特徴があります。

ゴールを伝えると、必要な作業を組み立てて進める

AIエージェントは、あらかじめ設定された範囲の中で、作業の手順を一つひとつ細かく指示しなくても、目的に応じて必要な処理を組み立てながら進めることができます。

たとえば、「このページのリンク切れを調べて直してほしい」と依頼すると、対象となるページを確認し、リンク切れを調査したうえで、必要な修正を進めてくれます。

人が作業手順まですべて決めて指示するのではなく、「何を実現したいか」を伝えることで、その達成に必要な作業を進められることが、AIエージェントの特徴のひとつです。

そのため、依頼する側があらかじめ細かな作業工程を整理しておかなくても、一定の範囲でAI側に判断を任せることができます。単に作業を速くするだけでなく、依頼や指示にかかる手間そのものを減らせる点も、業務に組み込むうえでのメリットです。

業務に根づくかを分ける「どこにいるか」と「何を知っているか」

もうひとつ、AIを実際の業務で使ううえで見落とされがちな違いが、「どこにいるか」と「何を知っているか」です。

一般的なチャット型生成AIを使う場合、専用の画面を開いて用件を入力し、案件の背景や前提条件をその都度伝える必要がありました。必要な情報が十分に伝わっていなければ、何度も説明を補ったり、同じような質問でも伝え方によって回答が変わったりすることがあります。こうしたやり取りに苦労した経験がある方も多いのではないでしょうか。

AIエージェントを業務に組み込む際も、どこから利用できるのか、仕事に必要な情報へどこまでアクセスできるのかによって、使い勝手は大きく変わります。

たとえば馬場あいでは、専用画面を持たず、普段使っているBacklogの課題コメントから依頼できます(どこにいるか)。さらに、過去のやり取りや、案件に必要なコード、ドキュメントなどを参照しながら作業することができます(何を知っているか)。

つまり、AIを使うために新しい操作を増やしたり、その都度前提条件を説明し直したりする必要がないのです。普段の業務の流れを大きく変えずに、AIへ仕事を任せられることがポイントです。

質問応答型AIと自律実行型AIエージェントの5つの違いを示した比較図。一般的なチャットAIは質問への回答が中心で、実作業は人が行い、専用画面で都度背景を説明する必要がある。一方、AIエージェントは目的に応じて作業を計画・実行し、普段使う業務ツールや過去のやり取り、コードなどを活用して、回答だけでなく実行結果まで提供する。

実例紹介!Backlogに住む"もう1人の担当者"「馬場あい」

ここからは、BAが開発したAIエージェント「馬場あい」が、実際にどのように仕事をするのかをご紹介します。

「馬場あい」という名前は、Business Architectsの「BA」と「AI」を掛け合わせたものです。つまり「BAのAI=馬場あい」。少し変わった名前ですが、覚えていただければと思います。

いつものBacklogから、そのまま仕事を依頼できる

馬場あいへの依頼は、普段使っているBacklogの課題にコメントを書くだけです。

たとえば、「この文言を修正してほしい」とコメントすると、馬場あいが依頼内容を受け取り、必要な情報を自動で参照しながら作業を進めてくれます。作業が終わると、その結果もBacklogのコメントに返します。

利用する側から見ると、AI専用の画面を開いて操作するというより、Backlogの向こう側にもう1人の担当者がいて、その人に仕事を依頼しているような感覚に近い使い方ができます。

何を任せ、どこから人が確認しているか

とはいえ、馬場あいにすべての作業を任せきりにするわけではありません。いくら便利とはいえ、すべてをAIに丸投げするのはやはり不安です。BAでは、AIに任せる範囲と、人が確認・判断する範囲をあらかじめ決めて運用しています。

たとえばコードの修正や実装では、作業から確認依頼の作成(プルリクエスト)までを馬場あいが担当し、本番へ反映するかどうかはその内容を確認したうえで人が判断します。

この「どこまでAIに任せ、どこから人が確認するか」という境界は、案件や作業内容に応じて調整可能としています。定型的な作業はAIに任せる範囲を広げる一方、影響の大きい変更では人の確認を必須にするなど、作業の内容やリスクに応じて役割を分けています。

馬場あいの「苦手なこと」

とても頼りになる馬場あいですが、もちろん苦手なこともあります。

  • 意図が曖昧な依頼:
    「なんだか〇〇な気がするので見ておいて」のように、対象やゴールがはっきりしていない漠然とした依頼や、判断基準が主観的な依頼は苦手です。こうした依頼は人にとっても難しいですが、AIにとってもまだまだ難しいですね。(文句を言わない分、頼みやすいかもしれません)
  • 範囲外の例外対応:
    担当している範囲の外まで横断して調べないと分からないもの、たとえば別システムとの兼ね合いで確認が必要なことなどは、そのままでは対応しきれません。ただし、案件ごとに専用の機能を持たせることで、対応できる場合もあります。

逆に言えば、「対象」と「ゴール」が明確な作業は任せやすい領域です。どの仕事をAIに任せ、どの仕事は人が担うのか。その見極めは、今のところ人が判断しなければならない部分だと考えています。

Backlog公式AIアシスタントとの違いは?

「Backlogには公式のAIアシスタントもあるけれど、馬場あいとは何が違うの?」と思う方もいるかもしれません。どちらもBacklog上でAIを活用する仕組みですが、得意としている領域が少し異なります。

Backlogの中の仕事を支援する公式AI、その先の作業まで進める馬場あい

Backlog公式のAIアシスタントは、Backlogに蓄積された課題やコメント、Wiki、ドキュメントなどをもとに、進捗状況の把握や情報の検索・要約、レポート作成などを支援します。課題の作成や更新についても、内容を提案してもらうことができます。

一方、馬場あいは、Backlogを依頼の窓口として使いながら、その先にある調査やコードの修正、プルリクエストの作成など、Backlogの外側で行う実際の作業まで進めることができます。

そのため、どちらか一方を選ぶというよりも、Backlogに蓄積された情報を整理し、プロジェクトを進めるための支援をする公式AIと、Backlogから依頼を受けて実際の作業を進める馬場あいでは、役割が異なると考えると分かりやすいと思います。

Backlog公式AIアシスタントと馬場あいの役割を比較した図。公式AIアシスタントは課題の要約や整理など、情報面の支援を中心とする。一方、馬場あいは調査やコード修正、プルリクエスト作成など、実際の作業まで担当する。情報を整理する役割と、作業を実行する役割の違いを示している。

面倒な準備は一切なし。実案件で使うために考えた「馬場あい」の仕組み

AIエージェントを業務に取り入れるとなると、「新しく何かを揃えなければならないのでは」「情報を外に渡しても大丈夫なのか」「本当に効果があるのか」といった不安を感じる方もいると思います。BAでは、こうした不安をできるだけ減らし、実務の中で使いやすい仕組みにすることを意識して馬場あいを設計しています。

新しいツールを増やさず、普段の業務から使える

馬場あいを作る際に意識したことのひとつが、AIを使うためだけに新しいツールや操作を増やさないことでした。

馬場あいへの依頼は、普段案件管理に使っているBacklogから行います。担当者がAI専用の画面を開いたり、新しい操作方法を覚えたり、ましてや社内研修を開いたりする必要はありません。

AIを使うために業務のやり方を大きく変えるのではなく、今ある業務フローの中にAIを組み込む。馬場あいは、そうした考え方で開発しています。

実案件で使うために考えたセキュリティ

AIエージェントを実際の案件で使うとなると、セキュリティは避けて通れません。特に気になるのが、AIに渡した情報がモデルの学習に使われたり、別の案件に影響したりしないかという点です。

馬場あいでは、依頼ごとに専用の作業スペースを用意し、必要な情報だけを使って処理します。作業が終わるとその環境は破棄されるため、ある依頼で使用した情報が、そのまま別の依頼に引き継がれることはありません。

また、AIモデルにはAmazon Bedrockを利用しています。Amazon Bedrockでは、入力した内容やモデルからの出力が基盤モデルの学習に使われたり、モデル提供元に共有されたりしない仕組みになっています※2。

馬場あいがアクセスできる範囲もあらかじめ限定し、Backlogへの書き戻しも決められた経路を通して行います。実案件で使う以上、「何にアクセスできるのか」「渡した情報がどう扱われるのか」を明確にしたうえで運用しています。

※2:Amazon Bedrock のよくある質問. Amazon Bedrock ユーザーガイド:データ保護.(参照 2026-10-21) 

実際の運用では作業時間の削減も見え始めている

馬場あいはすでにBAの実際の業務で使い始めています。BAのコンテンツ運用案件で、文言修正や軽微な改修、調査といった日常的な保守作業を対象に計測したところ、作業によっては所要時間を約35〜83%削減できました。

具体的には、次のような結果になっています。いずれも馬場あいに任せた時間だけではなく、人が内容を確認する時間まで含めた数値です。

馬場あい活用前後の作業時間と削減率を比較した表。作業Aは65~95分から29~43分に短縮し、削減率は約35~70%。作業Bは160~300分から31~52分に短縮し、約70~83%削減。作業Cは70~100分から24~42分に短縮し、約40~75%削減した。

いずれも限られた作業を対象とした社内実測であり、業務内容や依頼の仕方によって結果は変わります。ただ、「調べて終わり」ではなく、修正から確認依頼の作成(プルリクエスト)まで任せることで、人が実際に手を動かす時間を減らせることが見えてきました。

現在もさまざまな業務や案件で検証を進めています。どんな仕事なら任せやすいのか、どこに人の確認を残すべきか、実際にどの程度工数を削減できるのか。こうした検証結果については、今後もBAsixsで紹介していく予定です。

まとめ:AIエージェントを実務の中へ

ここまで紹介してきた馬場あいの特徴を、あらためて簡単に整理します。

  • ゴールを伝えると、必要な作業を組み立てながら進めることができる
  • 普段使っているBacklogから、そのまま仕事を依頼できる
  • 過去のやり取りやコード、ドキュメントなどを踏まえて作業できる
  • すべてを任せるのではなく、人が確認・判断する範囲を決めて使うことができる
  • 実際の保守業務では、作業時間を削減できるケースも出てきている

とはいえ、いきなりすべての仕事をAIに任せるのは怖いですよね。まずは対象とゴールが明確な定型業務をひとつ任せてみて、どのくらい工数が減るのか、どこに人の確認が必要なのかを見ながら、少しずつ範囲を広げていくのが現実的ではないでしょうか。

BAでは、こうしたAIエージェントの仕組みを「馬場あい」として、実際の案件での活用だけでなく、お客さまの業務への導入支援としても提供しています。普段使っているBacklogを入口にできるため、新たにAI専用のツールを導入したり、AIサービスごとに個別契約を用意したりする必要はありません。

「自社の保守・運用業務でも使えるのか」「どんな仕事から任せるのがよいのか」といった段階からご相談いただけます。まずはひとつの業務から試しながら、AIに任せる範囲を一緒に見極めていくことも可能です。

今後も、実際の案件でどこまで仕事を任せられたのか、どんな効果や課題が見えてきたのかをBAsixsで紹介していきます。