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何から着手する?UI/UX改善の課題発見とリスクを最小化する手法

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BAsixs編集部

BAsixsは、社会課題の解決と新たな価値創出をBAグループ全体で目指すためのサービスブランドです。

デジタルコンテンツやWebマーケティングの普及に比例して、UI/UX改善のニーズも高まるばかりです。UI/UXは、今やWeb制作における重要なキーワードになっています。

そうはいっても「どこから着手すれば良いかわからない」という声も少なくありません。

そこで今回はUI/UX改善について、株式会社ビジネス・アーキテクツ(以下、BA) のデザイン&クリエイティブグループ、デザイナーの君塚 伴子さん、廣瀬 麻由さんに話を聞きました。

何から着手する?UI/UX改善の課題発見とリスクを最小化する手法

インタビューした人

プロフィールアイコン(イラスト):ディレクター/フロントエンドエンジニア 富本
富本ディレクター/フロントエンドエンジニア(ビジネス・アーキテクツ)

地元・愛知の印刷会社や広告会社にてWeb制作に携わる。2014年頃、フロントエンドエンジニアとしてBAに入社。現在、ディレクターとして開発・運用の進行管理やWebサイトのガイドライン作成やコンポーネントの設計・作成を担当しています。好きなキャラクターはリラックマ。イタリアとスイスに行きたい。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):デザイナー 君塚
    君塚 伴子デザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

    ゲーム業界でのデザイナーを経て、2000年にウェブ制作会社に入社。運用から構築まで得意分野は幅広く、多くの大規模プロジェクトに関わる。インタラクティブコンテンツのアートディレクター。2018年よりビジネス・アーキテクツに入社し、UI/UXデザイナーとして奮闘中。

  • プロフィールアイコン(写真):デザイナー 廣瀬 麻由
    廣瀬 麻由デザイナー(ビジネス・アーキテクツ)

    旅行代理店で10年間勤務したのち、2021年からWeb制作会社でデザイナーとして勤務。コーポレートサイトやLPなどのデザイン制作、サイトの更新業務、ディレクション業務等を担当。2022年にビジネス・アーキテクツに入社し、金融、SaaS系サービスのUI/UX改善、コーポレートサイト構築、オウンドメディア(BAsixs)記事の素材作成などを担当している。

「売上、利用者を増やしたい!」UI/UXのよくある3つのお悩み

UI/UXの改善が売上や利用者増につながることはわかっていても、具体的な進め方やどこを改善すれば良いかわからないというお悩みは多くあります。

そこで、お二人から事前に「お客さまが抱えるUI/UX改善に関するよくある3つのお悩み」を挙げていただきました。これから1つずつ伺っていきたいと思います。

UI/UX改善の悩み①どこを改善すれば良いかわからない

「どこを改善すれば良いかわからない」というのは、サイトリニューアルやUI/UX改善におけるよくある悩みとのことですが、具体的にはどんな内容でしょうか?

廣瀬:どこを改善すれば良いか、何から手をつけたら良いかわからないという声は、非常によく聞きます。使いにくさは感じていても、根本的な問題がどこにあるのか把握できていないといった具合です。また、何となく課題はわかっているものの「改善の優先順位や手法がわからない」といったお客様も多くいらっしゃいます。「課題はわからないけどこの箇所を直したい」というご要望もいただきます。

君塚:サイト全体のデザインや機能の不統一感、ユーザビリティや導線などの課題も多いです。ただ、大規模に改修したいと思いつつも、開発期間の都合などで部分改修になるケースもあります。もちろん部分改修でも効果は期待できますが、どこから着手するかで効果は変わってきます。

UI/UX改善の悩み②UX改善の必要性が社内で理解されない

UI/UX改善に関する社内調整で苦労されるお客様もよくいらっしゃると聞きましたが、どの様なことで悩まれているのでしょうか?

廣瀬:はい。企業規模が大きくなるほど、多くのステークホルダーから合意を得る必要が生じるので、苦労されているお客様もいらっしゃいます。また、改善箇所に直接関わらない部署や決済される方で、UI/UX改善が初めてという場合も多くあります。そのため、現状の問題点や改善による効果などを、わかりやすく明確に伝えることを心がけています。

君塚:先日も「新しいサイト体験を作りたい」というご要望をいただきましたが、新しい機能や要件はハレーション(既存ユーザーからのネガティブな反応)が起きやすく、社内調整のハードルが高くなります。基本はメリット、デメリットを提示して検討いただく形になりますが、両者のバランスとデメリットをどうカバーするかを丁寧に説明して、納得していただく必要があるのが難しいところですね。

UI/UX改善の悩み③リニューアル後の効果測定の方法がわからない

リニューアル後に効果測定をどうすれば良いのかわからないというお悩みもあると聞きました。そもそも、UI/UX改善に効果測定は必要なのでしょうか?

廣瀬:そうですね。診断や効果測定を行なわないで見た目ばかり重視すると、効果が出ない改修になってしまいがちです。うまくいかなければリニューアル失敗、良い結果が出たとしても根本的な問題が解決できたのか、という疑問も残ります。そのためにも、現状把握と効果測定は必要だと思います。

また、「コンバージョン率が低い」という問題があったとして、単純にデザイン(UI)に原因があるとは限りません。もしかしたら、デザイン以外の部分で導線がわかりづらくなっているのかもしれません。
「どの要因によってどのような結果が生まれたのか?」
これをしっかり測定することが大切です。

お悩みの原因は「UI/UXの現状を把握できていない」こと

挙げていただいたようなお悩みを解決するにはどの様にするのが良いのでしょうか?

廣瀬:まずは改善の根拠となるUI/UXの現状を把握することだと思います。私の経験ですが、課題はわかっていても、どこに原因があるのかを特定する根拠がない状態で改善策を模索していたことがありました。しかし、そういう状態で改善策を実施しても、結果が良かったら成功、ダメなら失敗としか判断できません。改善策の何が良かったのか、施策として本当に正しかったという確信が持てず、常に手探りで仕事をしている感覚でした。

UI/UXの現状を把握できていないと他にどの様な問題が起こりますか。

君塚:結果としてユーザビリティの悪いサイトになってしまうことがあります。これは客観的な基準やユーザー目線でサイトの使用感を考えられず、的外れな方向で改修してしまうことで起こりやすいです。

例えば、思い込みでバナーの大きさや色を選択してしまい、ユーザーが不快感を覚えるサイトになってしまっている、といった具合です。UI/UXの現状を把握できていなければ、「ユーザーがどこに対して不便さを感じているのか?」などが理解できませんし、改善すべき点も発見できず効果的な改修につながりづらいと思います。

UI/UX診断で現状を把握

UI/UX改善でどこから着手したら良いかわからないという場合は、UI/UX診断を行なって現状を把握すると、スムーズに進められます。診断結果からUI/UXの課題が可視化すれば改善すべき点が明確になり、優先順位も判断しやすくなります。

UI/UX改善におけるUI/UX診断とは

UI/UX診断とはどういうものですか。

廣瀬:一般的には、使いやすさや、アクセスしやすさなどの観点からチェック項目に基づいて診断を行ない、ユーザーに配慮した設計ができているかを診断します。なお、我々のようなUI/UX改善の専門家でも、最初の段階では課題はわかりません。そのため、UI/UX診断での現状把握をご提案しています。

君塚:UI/UX診断では、チェック項目やチェックする人によって改善すべきポイントの取り上げ方などが変わります。その会社が持っている知見やノウハウが、診断のクオリティに大きく影響します。 プロダクトのUIUX改善のためにデザイナーは何を考え、何を提供するのか? | BAsixs(ベーシックス)

ビジネス・アーキテクツのUI/UX診断サービス

BAのUI/UX診断サービスの強みを教えてください。

廣瀬:当社の豊富な開発実績をもとに診断プログラムが作られている点ですね。当社はサービスサイトやコーポレートサイト、グローバルサイトなど、小規模から大規模まで多種多様な制作実績があります。全体視点を持つ監修者が作成したチェック項目に基づきUI/UX診断のフィードバックを作成しますので、UI/UXの現状と目指すべき姿とのギャップを把握でき、具体的な課題を発見できます。

診断で課題が可視化されれば、お客様が社内で認識をすり合わせる際にも役立ちますし、私たちも改善提案や要件定義、画面定義書の作成、ワイヤフレームへの落とし込みなどに活用できます。

君塚:最近は、UI/UX診断の実施が基本になりつつあります。大規模な改善案件ではUI/UX診断が広く浸透してきていますが、当社では小規模な案件にも対応した定性的なヒューリスティック分析を行っています。これにより、調査コストを抑えながら、数値に現れにくい課題や、個別の改善施策では見過ごしがちな構造的な課題などを抽出できます。UI/UX診断によって、見過ごしがちな課題までもらさずに全体感を把握できるので、より精度の高い改善につながります。 価値あるユーザー体験を届ける為に〜UI/UXの改善が重要な理由〜 | BAsixs(ベーシックス)

UI/UX改善の効果予測の難しさをどう解決するか

サイトやサービスを利用するユーザーには、リテラシーや環境のギャップがあります。しかしUIの意図が伝わらなければ、操作手順の誤りや離脱の原因になりかねません。そこでここからは、UI/UX改善を効果的に進める手法であるプロタイピングとユーザーテストについて聞きました。

担当者が抱える不安、UI/UX改善の効果予測の難しさ

UI/UX改善後に期待した効果や成果が出ないケースはありますか。

廣瀬:プロジェクトが始まってから様々な要因で課題感が変化したり、新たな課題が出てきたりすると、改善する焦点がブレてしまって当初期待した効果が得られないこともあります。
お客様の予算や納期の都合などでやむを得ないケースも起きうるので、そういったときは、新たな着眼点で改善ポイントを見直す必要があります。

君塚:UI/UX改善を検討する段階では、他社との比較や自社の強みをアピールしたいなど、さまざまなニーズが出てくるものです。ただし、やりたいことを無計画にすべて実装すると、ユーザーにとってはどこを見れば良いのかわからない状態になってしまうことがあるので注意しながら進める必要がありますね。

プロトタイピングを活用した取り組み

プロトタイピングとはどういうものですか。

君塚:UI/UX改善でのプロトタイピングとは、デザインやワイヤーフレームを繋ぎ合わせることで、ユーザーが操作したときのサイトの挙動を体験できる、疑似Webサイトのようなものです。プロトタイピングでは、ページ遷移の動きなどを中心に作りこみます。できたプロトタイピングは、お客様に説明するときに使ったり、実装メンバーにプロトタイピングを引き継いで動きを説明したりするときに使います。

プロトタイピングの活用でどういう効果を期待できますか。

君塚:ページ遷移などは、プロタイピングで実際の動きを作るとお客様に使用感がかなり伝わりやすくなります。また、遷移の前後の繋がりなども非常に明確になります。作り上げてきたものが動く驚きや、楽しさも感じてもらえますね。

さらに、お客様が社内で説明する際にも活用いただくことが出来ます。プロトタイピングを多くの方に触っていただいて、「この動きは変えたほうが良い」「今回は難しいから次回で」といったように判断されるケースもあります。 プロトタイプとは?Webサイト制作工程で使う必要性・メリット・デメリットから、開発における注意点まで徹底解説! | BAsixs(ベーシックス)

ユーザーテストを活用した取り組み

ユーザーテストとはどういうものですか。

君塚:UI/UX改善の途中で、サイトのサービス全体の流れを疑似体験してもらうテストです。簡単なシナリオを用意して、ユーザー役のモニターの方にサイトを触っていただきます。このときに、プロトタイピングを活用しています。できるだけ商材やサービス利用者のペルソナに近い人を集めて、1回のテストで3、4人に試してもらっています。

例えば、「製品を購入する」というシナリオであれば、「こういうものが買いたい」という目的を説明して購入までの操作を行なってもらい、画面を触りながら思ったことをなるべく細かく意見していただくようにお願いします。

ユーザーテストにはどういう効果があるのでしょうか。

君塚:ユーザーテストによって、迷ったところや難しい箇所を生の声として拾うことができますね。「このボタンがわかりにくいんだな」とか「ここで説明が必要」といった課題が明らかになるので改修につなげることができます。

廣瀬:ユーザーテストによってデザイン上では気づけなかった課題に気づくことができます。ユーザーにとって操作しにくいところを発見できたり、見てもらいたい部分を見てもらえていないことがわかったり。そういった場合、導線設計が悪いか、意図したほど目立っていないパーツがあるなど解決策を検討できます。こういったことは、実際に試してみないとなかなか気付けない部分です。

メリットは「リスクの最小化」と「効果の最大化」

プロトタイピングとユーザーテストによって得られるメリットはなんですか?

廣瀬:サイトを使用するユーザーの年齢やリテラシー、使用頻度などは様々です。そのためユーザーによってサイトの使いやすさが異なってきます。たとえば、サービスやサイトを知り尽くしているお客様には当たり前にわかることでも、初めてサイトに訪れた方やネットリテラシーがあまり高くない方の場合、目的の情報に辿り着けないといったことがあります。ユーザーテストによって、そういった気付きが得られる点が大きなメリットですね。

君塚:プロトタイピングを使ったユーザーテストによって、本当にユーザーが求めている機能なのか、その機能がなくなったらどうなるのかを検証することも可能です。

たとえば、多くのサイトで使用されている一般的な機能の場合、その実装可否は慎重に判断しなくてはいけません。自社サイトとしてはあまり必要性がない機能であっても、多くのサイトに存在する機能がないと、ユーザーが混乱してしまうことがあるためです。その機能を削除したプロトタイピングでユーザーテストをしてみて、ユーザーがどういった反応や動きをするのかを確認しています。

まとめ

UI/UX改善でお悩みの企業さまへのおすすめは?

君塚:UI/UX改善が進まないとお悩みの企業には、まずUI/UX診断を行なって課題を可視化することをおすすめしています。UI/UX診断によって現状の課題点を把握できれば、具体的な改修の方針が決められます。さらに、プロトタイピングとユーザーテストを取り入れることでリスクを最小化しながら、最大の効果を目指せます。

キャプチャ:オンライン対談風景(君塚と廣瀬が話している)

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