MAツール導入には一般的に3~6か月ほどかかると言われています。
せっかく労力とコストをかけて導入しても、社内で活用できないともったいないため、MAツール導入の失敗を防ぐポイントを紹介します。
BAsixs参画企業のビジネス・アーキテクツには、MAツール運用経験が豊富なメンバーがいます。「なぜ導入したのか分からない」「結局使っている機能はメルマガ配信だけ」「営業部門が使 ってくれない」といった状況を避けるためにも、導入を検討している段階でお気軽にご相談ください。
MAツール導入までの5つのステップ:1. 課題を洗い出す、目的を決める
まずは経営目標・課題のうち何をMAツールを使って達成したいのか目的を明確化します。
目的を見失わず、MAツール導入プロジェクトに途中で参加したメンバーがいてもスムーズに進められます。
MAツール導入する前に整理すべき8つのこと
- 商品購入に至るまでの見込顧客の行動プロセスを可視化するためにカスタマージャーニーマップを作成する
- 顧客のステージごとに、自社で取り組んでいる施策のフローや成果・目標を把握する
- マーケティング部門と営業部門で自社が保有している見込み顧客のデータを整理する
- カスタマージャーニーマップをもとに、マーケティング部門と営業部門で課題や悩みを洗い出し、優先順位をつける
- ターゲットや、ホットリード(受注確度が高い見込み顧客)の定義を明文化する
- MAツールを利用したい施策は何か、導入の目的を明確にする
- 導入フェーズと運用フェーズで確保できる作業リソースを把握する
- どの部門が責任とオーナーシップをもつか明確にする
MAツールは営業部門とは深く関わるため、最初のステップから一緒に課題や目的を考えて、考慮漏れを防ぐことがポイントです。既存顧客へのアンケートや過去の失注理由をもとに、顧客理解を深め、洗い出した課題の優先順位を決めます。
このステップでどれくらいの予算を想定しているか、すり合わせをします。社内の人的リソースやMAツール運用経験が無い場合や、成果を出したい時期までの期間が短い場合は、外部の有識者のサポートを依頼する予算が取れるかも確認します。
MAツール導入までの5つのステップ:2. MAツールを選定する
MAツールの導入目的が明らかになったので、次はMAツールを選定します。このステップではMAツールを比較するポイントを3つ説明します。
1.製品の機能情報を収集し、自社の課題を解決できるツールを絞り込む
まずステップ1で洗い出した課題・目的を解決できるか、MAツール比較表を作成します。
MAツールを比較する時に最初に確認すべきポイントは以下の9つです。
最初に確認すべき9つのポイント
- 自社と同規模・同業種の導入事例があるか
- 自社の運用体制に合っているか
- 優先順位の高い課題や施策に必要な機能がありるか
- 想定したプロセスが実現可能か
- 運用担当者が無理なく操作できるか(製品デモで試す)
- 導入、運用コストの概算
- 連携するツールとの相性
- 市場占有性、企業の将来性、サービスが供給され続けるか
- 自社のセキュリティ要件を満たしているか
2.サポートの体制・対象範囲や、追加費用の有無を確認する
次に、サポートの体制・対象範囲を確認します。MAツールの運用には専門的な知見・知識が必要な場合があります。社内にMAツール運用経験者がいる場合でも、導入から運用初期はサポートがあると安心です。
サポートの範囲を確認する3つのポイント
- 導入フェーズにおけるデータ移行や初期設定、環境構築のサポートがあるか
- 運用フェーズのサポート体制(問い合わせ手段、対応時間帯、一次回答までの時間)は自社の業務に合っているか
- サポートが別費用の場合は、提供会社と外部パートナーとの比較をする
3.そもそも今MAツールを導入すべきか、既存の方法で代替できないかを検討する
機能やサポート、費用感をつかめたところで、一度立ち止まってMAツールを導入すべきなのかを考えます。ツールの数が増えるほどデータの整合性をとったり、データが点在しているので判断材料を集めることが困難になってしまいます。
今MAツールを導入すべきか確認する2つのポイント
- 別の部門や事業部を含めて全社で現在導入済みのツールを洗い出し、機能が重複したツールがないか確認する
- 導入後、現行の方法・ツールに戻すことが可能か確認する
まず検討項目と優先順位をあらかじめ整理しておきます。その後、各製品提供会社との打合せや製品デモを通して疑問や不安を解消し、導入前後のギャップを抑えます。
MAツール導入までの5つのステップ:3. MAツール導入による効果見込みを算出する
経営層や営業部門へ、MAツールを導入したことで得られる効果の共通認識を作ります。
このステップでは以下2点をおさえます。
1.成果が数字に現れるまでに時間がかかることを理解する
多機能なMAツールは出来ることが多いので、習得したり、自社に合った仕組みを整えたり、データの蓄積や分析を試行錯誤するところにも時間がかかります。そのため導入してすぐに、大きな効果を得ることは難しいです。
またMAツールの運用だけでなく、顧客ステージ毎にコンテンツを制作したり、Webサイト内での導線を見直したりすることも並行して進める必要があります。
2.中期、長期目標を決める
MAツール導入から半年後、1年後にどのような効果を期待するかを共通認識をつくります。
中期・長期目標の設定例
- 中期:業務負荷を軽減する。未フォローによる機会損失を解消する。施策効果を可視化し、改善につなげる。
- 長期:組織的に営業プロセスを見直す。
MAツール導入の目的の多くは、見込み顧客を検討中というステージへ進めることです。顧客の各ステージを定義し、次のステージへ進めるためにどの施策が成果が出たか共有することで、どこから手を付けるべきか長期的な目標を設定しやすくなります。
さらに、現場メンバーから各部門長、経営層がそれぞれ施策のどの指標をみるか認識しておくことが大切です。
MAツール導入までの5つのステップ:4. MAツールを使った業務フローを設計、設定する
次に、社内へ導入するための準備を行います。このステップでは以下4点を行います。
1.MAツールを含めた業務フロー(業務プロセス)を設計する
まずマーケティング部門と営業部門で役割分担を明確にします。カスタマージャーニーマップをもとに、各ステージのユーザーが次のステージに進むために、やりたい施策を書き出します。その中で、どこをMAツールが担うかを明らかにし、関連部門と認識を合わせます。
MAツールを使った施策の対象は、営業部門が把握している既存顧客のBANT情報を参考に決めます。その後MAツールを使ってどのように進めるか、業務フローに落とし込みます。
現場メンバーの利用を促進するために、定例ミーティングでは毎回MAツールのダッシュボードやレポートを見る、などの工夫も必要です。
2.初期設定や実装を行う
実際に運用するためにMAツールの初期設定を行います。MAツール提供会社のサポートがどこまであるのか、何が設定された状態で納品されるのかを事前に確認しておきましょう。
初期設定時に設定する5つのこと
- MAツールを利用者の部門や役職・業務内容をもとにアクセス権限を設計する
- 既存システムや名刺などのデータをMAツールへ集約する
- DBの設計・設定、SSLサーバ証明書の設定をする
- 既存のWebサイトへアクセス解析用のトラッキングコードを埋め込む
- ユーザーアカウントを発行する
顧客情報は各営業担当者が管理している場合は、事前に項目を統一しておくとデータ移行がラクになります。
3.業務フローに基づいた設計、設定を行う
MAツールを使ってやりたい施策を実行するために、MAツールの詳細設定をします。
カスタマージャーニーマップをもとに、各顧客ステージでどういう行動を促すために、どういうアプローチをするか、施策を考えます。そしてMAツールの各機能を設定します。
運用開始後に期待ほどの効果が出ない場合は結果をもとに後から調整ができるので、まず一通り設定して運用できる状態にします。
6つの施策をもとに設定すること
- 顧客リストを作成する。自動更新するリストは抽出条件を設定する
- メール・ランディングページの共通デザインを決める
- 顧客ステージに基づいたスコアリングを決め、設定する
- 自動化する業務のシナリオを設計する
- 部門ごとに日時確認用や定例ミーティング用のレポート、MAツールを使った施策の成果を可視化し改善するためのレポートを設定する
- 導入済みの他のツールとのデータ連携を設定し、連携のテストを行う
4.運用開始に向けてを準備する
それぞれの施策の目的を運用担当者が理解するため、施策の評価・分析をしやすくなるために、運用開始前に運用フローを決め、予め準備をします。
4つの運用開始前に準備しておくべきこと
- 新しく取り組む施策を業務プロセスに分解し、運用フローを決める
- 運用担当者へ施策のメリットを説明する
- MAツールの学習コンテンツなどを利用し、運用担当者のツールに対する理解を深める
- 作業マニュアルを作成する
前のステップで立てた目標をもとに、業務フローに落とし込み、現場の運用フローを整備しておきます。ドキュメントをきちんと残すことで、メンバーが変わっても再現性のある運用ができます。
MAツール導入までの5つのステップ:5. 運用開始
初期設定をして導入して終わり、ではありません。顧客の要望は変化し続けるためです。
運用を開始したら以下の2点を継続的に行います。
1.設定や運用フローを検証する
導入後最低半年は、営業やカスタマーサポートなどの関連部門との認識を合わせ、PDCAを回すための定期的な運営会議を設定します。そして現場メンバーの利用を促進し、業務フローや運用ルールを調整します。
2.日々変化する顧客のニーズに合わせて柔軟に調整する
アクセス解析機能やレポート機能で各施策の効果や課題を可視化し、短期間でPDCAを回す仕組みや体制が整います。定期的な顧客アンケートを実施し、顧客ニーズの変化に応じて運用フローや設定を変更したり、施策の優先順位を見直したりすることが可能です。
MAツールは業務の効率化や施策効果の可視化や分析に役立ちます。分析結果を元に、仮説を立て、施策を実施し、売上に貢献できるかは、人が判断し調整し続ける必要があります。
実際に検討する際に何を確認するべきか、おすすめの7つのMAツールは以下の記事で紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
国内シェア上位7つのMAを比較|選ぶ時に確認すべき点を解説 | BAsixs(ベーシックス)
まとめ: MAツール導入成功のためには、マーケティング部門だけではなく、社内関連部署との連携が必須
コロナの影響でオフラインでの接点が減りましたが、これからデジタル化が進むとよりMAツールでできることはより増えるでしょう。売上を増やすための手段のひとつとしてMAツールがあります。
MAツールは、マーケティング部門だけで使っても効果が発揮しきれません。関連部門と最初から連携・情報共有して進めましょう。
BAsixsでは、MAツールの1つ、Hubspotのパートナーとして、導入・運用支援を行っております。弊社の強みとして、長年蓄積したWebサイト制作・運用のノウハウや知見を活かした集客課題抽出、マーケティング施策の優先順位をつけた実行など先導型支援が可能です。
また、ビジネス課題・目的の整理やMAツール選定・設計、運用支援などどこから手を付けたらいいのか不安がある方も、ぜひご相談ください。