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BAの考えるデザイン

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プロフィールアイコン(写真):ゼネラルマネージャー/CDO(Chief Design Officer)/人間中心設計スペシャリスト 森 太輔
森 太輔ゼネラルマネージャー/CDO(Chief Design Officer)/人間中心設計スペシャリスト(ビジネス・アーキテクツ)

2008年、企業の情報コミュニケーション戦略を実現するプロジェクトを中心に、アートディレクター及びリードデザイナーとしてビジネス・アーキテクツに入社。特に日本の製造業のグローバル展開プロジェクトに長年関わっている。現在はデザイン部門の責任者も務める。

近年「デザイン」という概念について、書籍やメディアなどのさまざまな媒体で語られたり、議論されています。そして、業務に関わらず日々の暮らしの中でも耳にする機会も多い言葉ではないでしょうか。

「デザイン」という言葉が示す定義は人や業界、状況によって大きく異なり、諸説あります。

  • お客さまのビジネスを加速させ、より高い価値提供を目指して成長・発展しつづけるためにデザインには、何が重要か?
  • BAsixs参画企業のビジネス・アーキテクツ(以下、BA)の考えるデザインとは何か?何を解決してくれるのか?

という疑問について、私が考えるBAのデザインを具体的なプロセスと共にご紹介します。

BAの考えるデザイン

デザインとは?

皆さんは「デザイン」という言葉を聞いて、何を思い浮かべますか?

「デザイン」という言葉が示す定義は人や業界、状況によって大きく異なり、諸説あります。恐らくこの言葉を目にした時に、自然に色やかたちなど視覚的なイメージをする人が多いのではないでしょうか。模様や形、色などの見た目を美しくする、絵を描くなどを連想させる「図案、意匠、装飾」といった側面で捉えているのかもしれません。

では、「デザインの定義って何?」と聞かれたらどうでしょうか?少し言葉に詰まってしまいませんか?
私自身もデザイン業務を始めた頃は、上記のような見た目の良さを追求し、商品やサービスの良さを届けるのが「デザイン」のもつ役割や定義だと解釈したこともありました。

しかし、これまで数多くのお客さまの話を聞いていく中で、お客さまの抱える課題は抽象的かつ広範囲に渡るため、見た目の良さを追求するだけでは、課題が解決できないことを実感しました。

課題を解決するために「誰の問題を解決しようとしているのか」「どうすれば利用者に使ってもらえるか」「どうすれば長期にわたって使い続けてもらえるか」といった問いを繰り返しました。何度も繰り返し思考を深めていく中で目的を理解し、課題を解決するために必要なあらゆるものを「設計する、企てる」ことこそが「デザイン」の本質であると思考するようになりました。

BAが考えるデザインは「広義のデザイン」と「狭義のデザイン」を兼ね備える

デザインという言葉には、「広義のデザイン」と「狭義のデザイン」の大きく2つの捉え方があり、さまざま意味が含まれています。
広義のデザインとは、「課題解決するためにあらゆるものを設計すること」であり、狭義のデザインとは、「設計したことを具体的なカタチにすること」という形で整理できるのではないでしょうか。

BAが考えるデザインは、その「広義のデザイン」と「狭義のデザイン」の意味を兼ね備えています。
つまり、「企業の抱える課題や欲求を深く掘り下げ、その課題を解決する体験やシステムを設計し、具体化しアップデートし続ける」という一連のプロセスと言い換えることができます。

図:BAの考えるデザイン領域

私たちの「デザイン」は、計画・戦略から設計・制作までで終わりではありません。お客さまのビジネスが継続的に成長するための検証・解析や改善・見直しを繰り返しながら、お客様のニーズにあった形に柔軟に対応できることが特長です。そして、このPDCAを回す仕組みづくりも欠かせません。

よくあるお客さまの課題と課題解決のためのアプローチ

よくあるお客さまの課題

私たちは日々、幅広い業界の企業担当者さまから、さまざまなご相談をいただきます。
たとえば、以下のような課題に関するお問い合わせが多いです。

  1. 会社や部門の垣根を越えた統括機能がなかったり、担当者の立場や役割が異なるなどさまざまな背景があり、情報が分断されて連携が難しく、改善すべきことや方向性が定まっていない(計画・戦略)
  2. プロジェクトが迷走したり、手戻りを繰り返し予算を大幅に超過してしまった(設計・制作)
  3. 改善点はたくさんあるけど、課題の棚卸しや優先度が決められておらず、長期的な指標の組み立て方が分からない(検証・解析)
  4. リリースした後の分析、改善のPDCAサイクルをどう回したらいいか分からない上に、リソースも足りない(改善・見直し)

私たちは前述のような課題に対して、まずはお客さまの情報をインプットし、お客さまと同じ目線に立つことから始めます。そして課題を紐解き、課題解決のために何が必要なアウトプットなのかを幾度も思考します。

それでは、私たちの提供する具体的なデザインをご紹介していきます。

課題解決のためのデザイン

私たちが提供するサービスの一つにWebサイト構築があります。たとえば、自社のブランドや価値を最大限に伝えるためのコーポレートサイトや、戦略的なグローバル広報が重要とされるグローバルサイトがあります。

このようなお客さまのビジネスニーズに合ったWebサイトの構築やその後の運営業務は長期に渡る上に、タスクの量は膨大です。

私たちは、多種多様な業界の企業さまへサービスを提供する中で、ノウハウや知見を蓄積してきました。それらを活かし、お客さまの課題に応じて各フェーズで100を超える工程を柔軟に組み合わせ、お客さまとの議論や提案を繰り返します。その積み重ねがプロジェクトを成功に導いていきます。

計画・戦略

計画・戦略フェーズでは円滑なプロジェクト進行の土台となる「計画」や、目的・目標を実現や事業価値を高めるための「戦略」を設計します。

プロジェクト成功の秘訣は、計画と戦略です。Webサイトの目的や役割を明確にし、お客さまの抱えるさまざまな課題にお応えすることができます。

課題解決のためのアプローチ例:あるべき姿の共有と課題の棚卸し

よくあるお客さまの課題

会社や部門の垣根を越えた統括機能がなかったり、担当者の立場や役割が異なるなどさまざまな背景があり、情報が分断されて連携が難しく、改善すべきことや方向性が定まっていない

うまくいかないプロジェクトの要因には、「ゴールが決まっていない」「計画や要件を握っていなかった」などが挙げられます。プロジェクトにおける目的に対する認識を揃えることや、その背景を理解せずに進めるプロジェクトは、必ずと言って良いほど破綻します。

失敗しないプロジェクトにするためには、目的や目標を実現するための課題を、テキストやビジュアルを使った資料として見える形で作成し、プロジェクト関係者が正しく理解できるようにします。その上で、費用、影響範囲、リスクなどの観点から適切な評価を行い、改めて問題がどこになるのかディスカッションを繰り返します。その結果、同じゴールに向かってプロジェクトが進んでいるという一体感が生まれ、おのずとブレないプロジェクトに変貌するのです。

イメージ図:計画・戦略の主なアウトプット

設計・制作

設計・制作フェーズでは、Webサイトの前提条件・スコープや骨組みを決める「設計」と、設計フェーズで作成した設計書に基づいた具現化する「制作」フェーズです。
私たちは、長年培った経験とノウハウ、最新の技術やスキルで、お客さまの抱えるさまざまな課題にお応えすることができます。

課題解決のためのアプローチ例:ユーザーの目的を達成するための工夫

よくあるお客さまの課題

プロジェクトが迷走したり、手戻りを繰り返し予算を大幅に超過してしまった

Webサイトを訪れるユーザーの目的や動機は様々ですが、いずれのユーザーも何らかの目的を持って検索してWebサイトを訪れています。そのためWebサイトに求められるのはユーザーの目的の達成です。

設計のプロセスを踏まずにすぐに具体的な成果物作成に着手してしまうと「設計書を作らずにページを作成したため、ルールが破綻した」「作ってみたけど、イメージと違う。リニューアル前の方がよかった」と言った誰も幸せにならない事象を引き起こしてしまいます。

こうしたリスクを未然に防ぐためには、前提条件の確認や課題を解決するための構造やビジュアル、システムなど多岐に渡るテーマの設計が重要です。

BAでは設計・制作フェーズをスムーズに進めるために大きく3つの工夫をしています。

1. 短期間で改善を繰り返し完成度をあげる

成果物をプロジェクトでこまめに共有し、短期間で改善を繰り返し完成度をあげることを大切にしています。そうすることで要件に対する意思決定のスピードをあげられると考えています。

そのために、より本番に近い操作性を確認するプロトタイプを使用することで、関係者間での共通認識が深まり、認識違いによる修正の繰り返しといった二度手間をなくすことができます。たとえこの段階で、プロジェクトチームでは想定していなかったユースケースや仕様が明らかになったとしても、それは、成果物の質の向上や開発コストの削減にも繋がり、完成度の高いWebサイトに仕上がることから好循環なプロセスと言えるでしょう。

プロダクトのUIUX改善のためにデザイナーは何を考え、何を提供するのか? | BAsixs(ベーシックス)

2. プロジェクトにとって効果的なフレームワーク

BAが得意とする大規模サイトの構築では、画面やデバイス、地域問わず、より多くの人たちに魅力的な体験を提供することが求められます。そのために、一貫した企業の価値を伝えられるシステム構築が必要となってきます。

私たちが数多くのWebサイトを構築してきた知見が凝縮された効果的なフレームワークに、デザインシステムがあります。再利用可能なコンポーネントに分割し、パターン化することで、迅速に機能やインターフェースを構築する仕組みです。

Webサイト内の情報を正しく伝えるために、色やフォント・レイアウトをルール化したデザインの原則を作成し、最良の体験を実現すると共に、お客様が自立した運用を保ち続けられるWebサイトを実現します。デザインシステムを取り入れることで、Webサイトの品質をより長く保って運用することが可能となります。

3. 先のフェーズを見据えた準備

制作フェーズの終盤には、開発完了から公開まではテスト期間が存在します。内容の最終チェック、最終要望の抽出と反映、細かな不具合の改修など最後まで成果物の品質をあげることを怠りません。成果物の認識のズレは、お客さまとの信頼関係に大きく影響を与えることがあるため、公開に関するタスクもワークフロー化して整備することで事故なく安全な公開・納品作業を行っています。

また、公開後の運用を見越し、デザイン・実装などのガイドラインを作ることで、お客さまが継続的にWebサイトを運営できる仕組みや体制作りを支援します。これまで積み重ねてきたノウハウを活用し、これからサービスをご提供するお客様へ、より確実に、より安全が提供できるよう工夫を重ねているのです。

イメージ図:設計・制作の主なアウトプット

検証・解析

Webサイトはリリースしたら完成というわけではありません。
構築して情報をアップデートしなければ、すぐに陳腐化し、ビジネスを成長させるための機会損失に繋がります。

企業側の主観的な視点だけで制作すると、顧客目線からかけ離れて、成果がでないWebサイトになってしまいます。客観的な視点で対象のWebサイトを分析・評価し、改善に繋げることが求められるのです。

私たちは、さまざまな調査手法を用いてユーザーの行為の実態と本質的なニーズを見出し、お客さまの抱えるさまざまな課題にお応えすることができます。

課題解決のためのアプローチ例:専門家によるWebサイト調査・分析

よくあるお客さまの課題

改善点はたくさんあるけど、課題の棚卸しや優先度が決められておらず、長期的な指標の組み立て方が分からない

Webサイトの問題点や原因を明確にするための方法の1つに、ユーザーテストがあります。ユーザーテストでは、制作側では気付けなかった使いにくさや、サービス・プロダクトの課題を発見することが出来ます。ユーザーテストやアクセス解析の結果を受けて、ユーザーの行動・特性から気づきを洗い出し、利用者目線で仮説を立案し、問題や課題に対して適切な手法を選択します。ユーザーに良い体験を提供することができているかをさまざまな角度から何度も検証と改善を繰り返すのです。

目の前の施策に追われている現場では、自社の実態を把握するための解析は後回しになりがちです。そのため無駄な予算やリソースを投下せずに、定期的に収集したデータをもとに、効果的な改善・見直しを続けたいものです。
とはいえ、改善に掛けられる予算がない、その予算確保のやり方が分からないケースもあります。BAでは、改善の必要性を説明することやお客さまの状況に合わせてより効果の大きい施策を実施してきました。規模だけでなく、事業環境や目的によって、何を軸足に改善していけばいいか、理解しています。

イメージ図:検証・解析の主なアウトプット

改善・見直し

お客さまが成果を出すWebサイトを運営するためには、データを元にWebサイトの状況を評価し、仮説立案や施策検討が必要です。

運営していく中で、お客さま企業内のWebサイト運用組織の変更やWebサイトの運営目的の変化など、とりまく環境は変わりさまざまな改善ポイントが発生します。企業の成長に合わせて自社のWebサイトも常に進化させるべきだと考えています。

私たちは、Webサイトを運用・運営におけるチームの役割や目標を明確にし、お客さまの抱えるさまざまな課題にお応えすることができます。

課題解決のためのアプローチ例:計画から実行までワンストップでご支援

よくあるお客さまの課題

リリースした後の分析、改善のPDCAサイクルをどう回したらいいか分からない上に、リソースも足りない

BAではお客様の抱えている課題に対して様々なWebサイトの運営支援を行ってきた実績があります。改善・見直しフェーズは、設計・制作フェーズの延長で進めることもあれば、改善・見直しフェーズからプロジェクトに参画するなどケースはさまざまです。専門分野の経験豊富な当社メンバーが、チームを編成してバックアップする体制を柔軟に構築しながらご支援することは、どのケースでも同じです。

BAのWebサイト運営業務に精通したスタッフやチームは、限られた社内体制で多様なプロジェクトを推進しなければならないお客さまが多くいらっしゃる中で、運営上で生じる大小様々な業務を横断的な視点を持ってサイクルを回しています

Webサイトの目的は情報発信、集客などさまざまです。それらの目的を達成するため、お客さまが継続的に成果を獲得するためには戦略的な運用・運営プランが求められます。
BAは、中長期的に運用・運営におけるチームの役割や目標を明確にし、お客さま企業の社内とも密に連携を取りながら、計画から実行までワンストップでご支援します。

イメージ図:改善・見直しの主なアウトプット

まとめ:BAのデザインとは、課題解決に必要なあらゆるものを「設計」すること

お客さまの課題を解決する方法の正解は、ひとつではありません。

これまでご紹介した大きな4つのフェーズ(計画・戦略、設計・制作、検証・解析、改善・見直し)で行うさまざまプロセスの中から、お客さまのニーズに合わせた最適な方法や柔軟な組み合わせを導き出しながら、数多くの実績を積み上げてきました。

その結果、お客さまの提供される価値を正しく伝え、お客さまやその先にいる利用者の体験を向上させ、お客さまのビジネスを加速させ、より高い価値提供を目指すことを後押ししてきたのです。

BAの考えるデザインは、お客さまが抱える多くの課題を紐解き、さまざま可能性をアウトプットしながら、何度も何度も検証を繰り返し、思考を深め、課題解決に必要なあらゆるものを「設計」することです。