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制作会社の選び方を解説!失敗しないために注意すべきポイントは?

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小島 寛人ディレクター(ビジネス・アーキテクツ)

ローカライゼーションベンダーのディレクターを経て、2006年にビジネス・アーキテクツに入社。以来、大企業のコーポレートサイト、マーケティングサイト、保険企業のオンライン見積りサイトなど多様なプロジェクトに参画。

Webサイトの制作やリニューアルを行う際、最も重要なのは「どの制作会社に依頼するのか」ということです。制作をスムーズに進行するためには、目的や予算、スケジュール、規模など、制作したいWebサイトに合わせて制作会社を選ぶ必要があります。
ここでは、Webサイト制作の大きな流れと、失敗しない制作会社の選び方についてご説明します。

Webサイト制作・リニューアルの流れ

制作会社に発注する前に、まずはWebサイト制作・リニューアルの流れを知っておきましょう。ウェブサイトの制作は、よく「家を建てること」に例えられます。
家を建てるためにはまず「どのような家にするのか」「誰が住むのか」「どのような作りなら便利か」などを考えてから、建築会社に依頼して間取りや内装など細かい部分を決めていきます。Webサイト制作も、考え方は同じです。

Webサイトの制作は、大きく分けると「企画」「設計」「制作」「公開」「運用」という流れで進みます。順に解説していきましょう。

ステップ図:1.企画 2.設計 3.制作 4.公開 5.運用

1. 企画

企画とは「どのようなWebサイトにするのか」というコンセプトを決めることを表します。これは、家で例えると「建てるのは平屋の集合住宅なのか、一戸建てなのか」といったそもそもの話に相当します。企画を考えるポイントは、「何のためにWebサイトを作るのか」という目的にあります。
例えば、会社の事業や意義を世の中に広めたいならコーポレートサイトを、優秀な人材を採用したいなら採用サイトを、ネット通販の売上を増やしたいならECサイトを制作する必要があるでしょう。

そこに、2つのニーズを掛け合わせてコンセプトを掘り下げていきます。2つのニーズとは「ユーザーのニーズ」と「ビジネスニーズ」のことです。
コーポレートサイトを訪れるユーザーのニーズは、例えば「その企業の強みやビジョンを知りたい」ということが考えられます。反対に、企業側のニーズ、つまりビジネスニーズは、例えば「訪れた人に投資をしてほしい」などがあるでしょう。
この2つのニーズをともに満たすために、「どのようなWebサイトを作ればいいのか」を考えていくのが企画フェーズです。

ユーザーニーズとビジネスニーズを両立したウェブサイトの図

Webサイトを通じて会社として何をなし遂げていきたいのか。その点をはっきりさせることで、自然と作るべきウェブサイトの姿が見えてきます。

2. 設計

企画フェーズで洗い出したニーズに沿って、Webサイトに必要な要素を考えていきます。設計フェーズは、家で例えるなら、設計図や間取りを考える作業に相当します。

このフェーズで重要なのは、「ユーザーが求めている情報へ、効率よくたどり着ける設計にする」ことです。場合によっては、利便性を高めるためにあえて最短距離でたどりつけないようにすることも必要になるケースもあります。先ほどのコーポレートサイトを例に挙げると、ユーザーは「その企業の強みやビジョンを知りたい」わけです。一方で、ビジネスニーズとしては「自社を投資対象として見てほしい」わけですから、「最終的に投資対象として見てもらえるような、企業の強みやビジョンを発信する」ことが条件になります。
そうなると、単純に売上や従業員数を載せるだけでは不十分です。例えば、SDGs(持続可能な開発目標)に関連する取り組みなどのコンテンツを用意することで、投資対象としての魅力をアピールできます。

コーポレートサイト以外のWebサイトでも、同様の発想で設計を進めていきましょう。

3. 制作

設計ができたら、実際のサイト制作に入っていきます。制作は、おおよそに「企画」「要件定義」「設計(情報設計およびコンテンツ)」「デザイン」「コンテンツ制作」「実装(構築)」の順番で進みます。
特に重要なのは要件定義です。企画や設計で洗い出したポイントをしっかりと制作会社と共有し、Webサイトの目的やターゲット、どんな要素が必要なのかなどについて定義していく必要があります。社内外のステークホルダーへのヒアリングも重要です。
ほかにも、予算やスケジュール、インフラの環境、コンテンツなど、細かい点まで事前の要件定義でしっかりと決めておくことで、その後の制作がスムーズになります。

4. 公開

制作会社からWebサイトの完成物が納品されたら、各ステークホルダーへの確認後に公開することになります。ここでのポイントは、確認作業のスケジュールにバッファを設けておくことです。特に公開日が決まっていて動かせない場合は、余裕があるスケジュールを組んでおきましょう。
確認作業は想定よりも時間がかかることが多く、予想外のトラブルも起こる可能性があります。場合によっては、社内から思わぬ修正依頼が来る可能性もあるでしょう。あらかじめそうした事態を想定して、公開までの日程に余裕を持っておくことが大切です。企画や要件定義などの上流工程よりも、実装や確認などの後工程になるほど、バッファをもたせたスケジュールを立てられる制作会社かどうかは非常に重要です。経験値の高い制作会社は後工程ほどより具体化することを知っているため、後工程ほどスケジュールに余裕をもたせます。選定する際の大きなポイントのひとつにもなります。

5. 運用

Webサイトを公開したら、その後は運用フェーズに移ります。運用で大事なのは、チーム体制を整えることです。「誰が何を担当するのか」をしっかり決めておかないと、役割が曖昧になって誰も手をつけなくなり、Webサイトの更新がいつのまにか止まってしまう…ということも考えられます。
また、アクセス解析などを通してWebサイトの情報を収集し、狙った効果を上げられているのかを確認することも重要です。Webサイトは公開することが目的ではありません。公開したWebサイトを使って何をするのか、制作する目的が重要のため、むしろ運用からが本番ともいえます。

制作会社の選び方

一口に制作会社といってもさまざまです。制作会社にはそれぞれ得意とする分野があり、作りたいWebサイトの種類や予算、規模、依頼範囲などに応じて、適切に選ぶ必要があります。

「こんなサイトを作りたい」と相談した場合、多くの制作会社は「できます」と答えるでしょう。しかし、単に「制作できる」のと「その分野の制作に精通している」のでは、Webサイトの完成度に差が出てきます。発注する前に、自社が作りたいWebサイトの分野を得意とする制作会社かどうかを、慎重に見極めなければなりません。
ここでは、制作会社を選ぶときにチェックするべきポイントをご紹介します。

制作実績を確認する

制作会社の得意分野を知る最も確実な方法は、過去の制作実績を確認することです。制作実績では、以下のようなポイントをチェックしましょう。

制作実績ページで確認するポイント

  • どんなジャンルのWebサイトを制作したことがあるか
  • 自社と同業種のWebサイトを制作したことはあるか
  • 得意とするWebサイトの規模感

ポイントは、ここ2~3年程度の最近の制作実績であることです。人の入れ替わりなどもありますので、あまりにも古い制作実績だと、現在の基準としては参考になりません。

制作会社の強みを説明してもらう

制作実績を確認して、自社が作りたいサイトに合っていると感じたら問い合わせを行い、さらに詳細な点について確認していきましょう。
ここで重要なのは、制作会社としての強みをしっかり説明してもらえるかどうかです。強みとは、例えば「大規模なサイト制作を得意としている」「制作だけでなく、企画から運用までサポートする」といったことです。
注意したいのは「なんでもやります!」という制作会社です。明確に特徴や強みを説明しない制作会社は、「何でもできる」のではなく「得意分野がないだけ」の可能性があります。

サービス内容がぼやけている会社とクリアな会社の比較図

予算や規模感などを確認する

予算や規模感でも、適切な制作会社は変わってきます。例えば、「高速でPDCAを回す」のが得意な制作会社は、長く何年も使うことを前提とした大企業の大規模Webサイト制作には向いていない可能性があります。高速でPDCAを回すということは、キャンペーンサイトなど短期間の運用を想定しているからです。
ほかにも、制作期間の目安や、デザイナーを社内に抱えているか、開発言語、取り扱うCMS、業務範囲なども確認しましょう。

運用までできるのかなど、業務範囲を確認する

制作会社によって、受けてくれる業務範囲は異なります。上記で説明した制作の流れにおける「制作」の部分だけを請け負う会社もあれば、「企画」や「設計」、制作後の「運用」までをサポートする会社もあります。そのあたりを確認せず依頼してしまうと、後から思わぬトラブルに発展することにもなりかねません。

また、「知り合いからの紹介で選ぶ」ことも非常に有効です。少なくとも、「紹介に値するだけの信頼性を持った会社」ということが、最初からわかっているのは大きなメリットです。

問い合わせ前の準備に必要なもの

制作会社に問い合わせる際には、依頼したい内容について洗い出しておくとやりとりがスムーズになります。特に、Webサイト制作やリニューアルの目的は、はっきりさせておきましょう。
会社として何を目的に、どんな効果を期待して、どういったWebサイトを制作したいのか。その点が明らかになっていると、制作会社側も適切に回答できます。

できれば、RFPも作っておくと理想的です。RFPとは「提案依頼書」のことで、制作会社にどのような提案をしてほしいのか、ポイントをまとめたものです。
RFPがあれば、制作会社側もよりニーズに沿った提案をすることができます。

RFP(提案依頼書)の書き方とは?必要な項目や作成時の注意点 | BAsixs(ベーシックス)

最終的にはコンペで制作会社を決定するケースも多いでしょう。注意点としては、問い合わせを行った制作会社の中からしっかり数を絞り込んだ上でコンペを行うことです。
例えば10社に問い合わせたなら、コンペ参加社は2~3社程度がいいでしょう。コンペの参加社があまりにも多いと、発注側の負担も大きくなり、判断が難しくなります。事前に適切な数に絞り込むためにも、問い合わせの段階で、自社の依頼に合った制作会社をしっかり選んでおく必要があるのです。問い合わせを行う際は、RFI(情報提供依頼書)を作成するのも有効です。

まとめ

Webサイト制作の成否は、制作会社選びにかかっているといっても過言ではありません。制作会社ならなんでも作れるというわけではなく、会社ごとに得意とする分野や規模が異なります。
本記事を参考に、自社のニーズに合った制作会社を選んでください。

また制作会社の選定以外にも、Webサイトの制作やリニューアルには見えづらいタスクが多数存在します。
もし、プロジェクト担当者として進行に不安があるようでしたら、プロジェクト進行管理表として「WBS」を利用することをおすすめします。
WBSを使うことで、プロジェクトの立ち上げから納品までの間に必要なタスクを整理しながら、スケジュールまで落とし込んでいくことができます。
BAsixsではプロジェクト担当者向けに、おおよそ必要となる項目を記載した計画表も準備しておりますので、ぜひこちらもあわせてご利用ください。

Webサイト立ち上げ・リニューアルプロジェクト管理表サンプル | BAsixs(ベーシックス)