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AI時代のWeb運用、何から始める?-若手がシニアPMに聞く、更新作業だけで終わらせない運用の基本-

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プロフィールアイコン(イラスト):カスタマーリレーショングループ/第2アカウントチーム(ビジネス・アーキテクツ) 遠藤
遠藤カスタマーリレーショングループ/第2アカウントチーム(ビジネス・アーキテクツ)

美容師を経験し、BPO業界で案件管理の担当を経て、2025年にビジネス・アーキテクツに入社。
現在は日々、お客様との対話を重ねて深い信頼関係を築くことを意識しています。単なる窓口にとどまらず、お客様の課題をいち早く察知し、解決に向けた伴走型の提案ができるアカウントになれるよう、日々スキルを磨いています。

Webサイトの運用担当になると、ニュース更新やページ修正、バナーの差し替えなど、日々さまざまな依頼が届きます。最初は「言われた通りに直せばよい」と思っていても、実際には「この情報はどこに載せるべきか」「このページは今のままでよいのか」「制作会社にはどこまで相談してよいのか」と迷う場面が出てきます。

さらに最近では、AIの活用によって、Web運用に関わる作業も変わり始めています。議事録作成や情報整理だけでなく、コンテンツ制作、検索AIを意識した情報設計、コーディング、テスト、改善案の洗い出しなど、AIを活用できる場面は広がっています。

一方で、AIでできることが増えるほど、運用担当者は「何をAIに任せ、どこを人が確認するのか」を考える場面も増えていきます。AIが出した情報やコード、改善案がサイトの目的に合っているのか、ユーザーに正しく届くのか、品質や安全性に問題がないのかは、まだ人が判断しなければならないことが多いでしょう。

今回は、Web運用に関わり始めたBusiness Architects(ビジネス・アーキテクツ、以下BA)の遠藤が、数多くのWebサイト構築・運用に携わってきたシニアPMの野島に、AI時代のWeb運用で変わることと、運用担当者がまず確認すべきポイントについて聞きました。

AIを使えば、作業の一部は確かに速くなります。ただ、その分、運用担当者には「何をAIに任せるのか」「どこを人が見るのか」を考える場面が増えていきます。本記事では、Web運用を単なる更新作業で終わらせないために、まず押さえておきたい視点を整理していきます。

 

AI時代のWeb運用、何から始める?-若手がシニアPMに聞く、更新作業だけで終わらせない運用の基本-

インタビューした人

プロフィールアイコン(イラスト):カスタマーリレーショングループ/第2アカウントチーム(ビジネス・アーキテクツ) 遠藤
遠藤カスタマーリレーショングループ/第2アカウントチーム(ビジネス・アーキテクツ)

美容師を経験し、BPO業界で案件管理の担当を経て、2025年にビジネス・アーキテクツに入社。
現在は日々、お客様との対話を重ねて深い信頼関係を築くことを意識しています。単なる窓口にとどまらず、お客様の課題をいち早く察知し、解決に向けた伴走型の提案ができるアカウントになれるよう、日々スキルを磨いています。

インタビューを受けた人

  • プロフィールアイコン(写真):プロジェクトマネジメントグループ/グループマネージャー/シニアディレクター(ビジネス・アーキテクツ) 野島
    野島プロジェクトマネジメントグループ/グループマネージャー/シニアディレクター(ビジネス・アーキテクツ)

    2008年にビジネス・アーキテクツに入社。システムエンジニアとして中規模以上のシステム設計・システム開発を担当。現在はそのバックグラウンドを活用し、サイト構築案件から運用案件まで様々な案件のディレクターを担当。UXとエンジニアリングの観点から顧客の課題解決を行っている。CompTIA Project+認定資格保持。

Web運用は、ただ更新するだけの仕事ではない

遠藤:野島さん、今日はよろしくお願いします。実は私、Web運用の全体像がまだつかめていなくて…。Webサイトの運用というと、「言われた通りに文字を直す」「新しいバナーに差し替える」といった更新作業のイメージが強いんです。今日はそのあたりを聞かせてください。

野島:よろしくお願いします。たしかに、「Webの運用」と聞くと、そうした日々の更新作業を思い浮かべやすいですよね。もちろん、日々の更新も大切な業務の一部です。ただ、Webサイトの運用はそれだけではありません。

そもそも論になるのですが、世の中にあるWebサイトは、お客さまのビジネスのために用意されているものです。営業ツールの側面もありますし、企業やブランドのイメージを伝える側面でもあります。だからこそ、Webの運用では最初に立ち戻って「このサイトは何のためにあるのか」「誰に何を届ける場所なのか」を理解しておくことが大切です。

遠藤:なるほど。更新作業というタスクだけで捉えるのではなく、サイトの役割や目的まで見ていく必要があるということですね。

野島:そうです。もちろん、コーポレートサイト、サービスサイト、ECサイト、オウンドメディアなどなど、サイトの種類によって役割は変わります。売上やお問い合わせにつなげるサイトもあれば、採用や認知向上の役割を持つサイトもあります。

どのサイトにも共通しているのは、企業が伝えたい情報を、必要な相手に届けるための場所だということです。サービス内容が変わったのに古い情報のままだったり、採用情報が更新されていなかったりすると、ユーザーに正しく伝わらないですよね。だからこそ、運用ではそのサイトの目的に合わせて、情報を適切な状態に保ち続けることが大事なんです。

今、「そんなこと本当にあるの?」と思ったかもしれません。でも、日々いろいろなサイトを見ていると、できていない企業さんは意外と多いんですね。

遠藤:情報を適切な状態に保つ、というのをもう少し具体的に教えてもらってもよいですか?

野島:たとえば、いま風のデザインで作られているものの、FAQや機能紹介が更新されていないサービスサイトを見ると、「不便だな」と感じることがありますよね。また、何年も古いお知らせが更新されずに残ったままだと、「この会社は今も動いているのかな?」と不安に感じることもあります。

こうしたことを防ぐためにも、ユーザーにとって分かりやすく、正しい情報が、必要なタイミングで届く状態にしておくことが大切です。これは、人が検索して情報を探す場合でも、AIが情報を拾って回答する場合でも、重要になってきています。以前のように、ただキーワードを入れておけばよいという考え方だけでは、十分ではなくなってきていると思います。

もちろん、すべてのページを頻繁に更新しなければいけないわけではありません。内容によっては、長く変えなくても問題のない情報もあります。ただ、サイトの目的に対して必要な情報が古いままになっていないか、ユーザーが安心して見られる状態になっているかは、運用の中で見ていく必要があります。

対談風景:野島(左)と遠藤(右)が向き合って会話する様子

遠藤:サイトの役割に合わせて、必要な状態を保つことが大切なんですね。更新すること自体を目的にしてしまうと、本来の役割からずれてしまうことはありそうですね。

野島:そうですね。これまで自分が、いろいろなWebサイトの運用に関わってきた中で、Web運用には大きく「守り」と「攻め」の側面があると思っています。

「守り」は、サイトを安全に、安定して使える状態にしておくことです。CMSやサーバーの保守、セキュリティ対応、ドメインやSSL証明書の管理などが含まれます。ユーザーからは見えにくい部分ですが、これらが整っていないと、サイトが表示されなくなったり、ユーザーに警告が出たりすることもあります。個人情報の漏えいなど、セキュリティに関するニュースを目にする機会も増えている中で、安心して使える状態を保つことは、企業の信頼性を担保する重要な運用業務だと思います。

これも意外とできていなかったりします。CMSのバージョンが古いままになってしまっているなど相談をいただく際に気づくことがありますね。

一方で「攻め」は、サービスや採用情報、キャンペーンなどを適切に発信し、ユーザーに届けていくことです。最近では、単にお知らせを出すだけでなく、ユーザーが読みやすい内容になっているか、必要な情報に迷わずたどり着けるかをとことん考える必要があります。読みやすさ、理解しやすさはますます大切になっていますね。

たとえば、採用サイトであれば、社内の雰囲気や働き方が伝わる情報(コンテンツ)を用意し、更新していくことで、応募を検討している人の理解を深めることにつなげようという動きをされている企業も多いですね。

こうした仕掛けを展開したり、アクセス解析や問い合わせの傾向を見ながら、よく見られているページを改善したり、ユーザーが迷いやすい導線を見直したりすることも攻めの運用に含まれます。ただ情報を更新するだけではなく、ユーザーの反応を見ながら、売上や採用、問い合わせなどの成果につながる状態に直し、育てていく視点が大切です。

遠藤:ありがとうございます。少しイメージがつかめてきました。「守り」と「攻め」で考えると、運用の範囲が少し見えやすくなりますね。なんとなくですが、攻めの運用をどんどん進めていく方がよい気がするのですが、違いますか?

野島:攻めの視点も大切ですが、まずは土台となる守りが安定していることが前提です。大規模なサイトや複雑なCMSを運用している場合、日々の更新だけでなく、安定してサイトが動き続けるための体制やルールも必要になってきます。

BAでも、大規模サイトの運用やCMSの保守、運用体制の整理をご相談いただくことが増えています。言われた箇所を直すだけではなく、サイトが事業に役立つ状態を保てるようにすることが、Web運用においてベースとなる役割なんだと思います。

遠藤:なるほど。攻めの運用というと、情報発信や改善に目が行きやすいですが、その前にサイトが安定して動くことや、運用しやすい体制があってこそなんですね。更新作業だけを見ていると気づきにくいですが、運用って一言で言われがちですが、かなり守備範囲が広いですね。

対談風景:遠藤が話している様子

AIでできることが増えるほど、人の判断が重要になる

遠藤:運用の基本が少し見えてきました。もう一つ私が気になっているのが、AIの活用です。AIの活用というと、議事録や要約のイメージがありましたが、もっと広がっていますよね。Web運用の実際の現場では、どのようなところまで活用が広がっているのでしょうか。

野島:そうですね。議事録作成や情報整理、レポート作成の準備などはもちろんです。BAではさらに、コンテンツ制作やページ構成の検討、コードの生成やチェック、テスト項目の洗い出しなどにも使われています。完全な自動化まではもう少しかかりそうですが、一部工程の自動化には対応できています。

ユーザー側に目を移すと、検索のあり方も変わりつつあります。従来の検索エンジンだけでなく、生成AIが情報を要約して答える場面が増え、ユーザーがサイトにたどり着く前に情報を受け取るケースも出てきています。話し言葉で検索をしてもAIが意図を汲んで答えを出してくれるので、正しいか正しくないかは脇に置いておくとしても、ユーザーとしては便利ですよね。

そうなると、Webサイトに載っている情報が正確か、ユーザーにも、AIにも、理解しやすい形で届けられているかが、これまで以上に重要になります。AIOのような考え方も、今後のWeb運用では意識していく必要があるでしょうね。

遠藤:AIを使う範囲が、単なる作業効率化だけでなく、コンテンツや開発、検索体験にまで広がっているということですね。

野島:はい。ただし、AIができることが増えたからといって、すべてをAIにマルっと任せられるわけではありません。AIが出した文章や構成案、コード、テスト結果が、本当にサイトの目的に合っているのか、ユーザーに誤解なく伝わるのか、品質やセキュリティに問題がないのかは、まだまだ人が確認する必要があります。

たとえば、AIが作った文章は一見きれいに見えても、その会社らしい言い回しになっているか、公開してよい情報が含まれていないかまでは判断できません。コードやテストについても、動けばよいというだけではなく、保守しやすいか、既存のルールに合っているか、運用後に問題が起きないかを見る必要があります。

遠藤:AIが作れる範囲が広がるのと同時に、人間が見るべきポイントも増えるということですね。

野島:今日時点ではという前提ですが、運用担当者は、AIを使って作業を早くするだけでなく、AIの出力をどう確認し、どうプロジェクトに組み込むかもあわせて考える必要があるでしょうね。

生成AIは、案を出したり、作業を補助したりするのにはとても有効です。一方で、「このサイトで何を実現したいのか」「ユーザーにどう届けるのか」「品質として問題ないのか」を判断するのは、まだまだ人の役割が大きいと思っています。もちろん、今後さらに自動化される領域は広がると思いますが、少なくとも現時点では、人が確認すべき部分は残っています。

遠藤:AIに作業を任せて、人は目的や品質、ユーザーへの伝わり方など本質部分を確認するようなイメージですかね。

野島:その通りです。AIをビジネスで使う際には、機密情報や未公開の情報、個人情報の扱いに注意が必要です。特に私たちのようにクライアントさまの業務をお預かりしている立場では、「便利だから何でもAIに入れる」という使い方はできません。クライアントとの契約や社内ルールに照らして、入力してよい情報と、入力すべきではない情報を切り分けながら使う必要があります。モデル学習に使われないとされているAIであってもです。

つまり、世の中で紹介されている実験の最先端のような使い方は、クライアントワークにそのまま持ち込めるとは限りません。AIでできることを知っておくことは大切ですが、実際のプロジェクトでは、情報管理や品質確認の前提も含めて、どこまで使うかを判断する必要があると思います。

対談風景:野島が話している様子

企業が伝えたい情報と、ユーザーが知りたい情報をつなぐ

遠藤:AIを使えば、コンテンツ案や改善案を出すところまでは効率化しやすくなりますよね。一方で、その案を採用するかどうか、どのようにサイトへ反映するかは人が判断する必要があると思います。運用担当者は、どのような視点で判断していけばよいのでしょうか。

野島:大切なのは、やはり最初に立ち戻るのですが、「サイトの目的」と「ユーザー視点」ですね。この2つを両方見ながら判断するしかないかなと思っています。

Webサイトを運用していると、どうしても企業側が「出したい情報」に意識が向きやすくなります。新しいサービスのお知らせを出したい、イベントを告知したい、採用情報を更新したいなど、社内からさまざまな「…したい」という依頼がきますよね。

遠藤:はい。次から次へと依頼されます(笑)。依頼に対応していく中で、「まず掲載すること」を優先してしまっているかもしれません。

野島:依頼に対応していくこと自体は必要なことです。ただ、言われた通りに情報を載せることが、必ずしもユーザーの分かりやすさにつながるとは限りません。

運用で大切なのは、「この情報をユーザーはどう受け取るのか」「どこに置けば見つけやすいのか」「どのような言葉で伝えれば誤解なく届くのか」を考えることです。企業が発信したい情報と、ユーザーが知りたい情報の間には、ずれが生まれることがあります。ずれだらけと言ってもいいかもしれません。その間をつなぐのが、運用に関わる人の大切な役割でしょうね。

たとえば、お客さまから「この情報を載せたい」と依頼されても、そのまま掲載するだけではなく、ユーザーがどのようにサイトを見に来るのかを考え、場合によっては、「この情報はこのページに置いた方が見つけやすいのではないか」「この導線でコンテンツにたどり着けるようにした方がよいのではないか」と提案する方がよいこともあるでしょう。逆に、言われた通りに更新する方がよい場合もあります。

お客さまの依頼をただ受けるだけでなく、必要に応じて相談や提案ができる関係をつくることも、運用では大事だと思います。

遠藤:たしかに、同じ情報でも、置き場所や導線、言葉の選び方で伝わり方は変わりますよね。言われた通りに更新するだけではなく、「どう載せるとユーザーに伝わりやすいか」まで話せる関係があると、運用の意味も変わってきそうです。

野島:はい。たとえば、やるべき更新や改善が複数あるときも、工数やコストだけで優先順位を決めるのではなく、「サイトの目的に合っているか」「ユーザーにとって必要な情報か」という視点で考え、クライアントと話して優先順位を決められるとよいですね。

もちろん、工数やコストは現実的な判断材料になります。ただ、それだけで決めてしまうと、本来優先すべき情報が後回しになってしまうこともあります。お客さまが何を実現したいのか、ユーザーがどの順番で情報を必要としているのかを見ながら、対応する順番を考えることも運用の大事な役割です。

遠藤:AIが案を出してくれる場面が増えても、どの情報を優先するか、どう届けるかを決めるには、サイトの目的やユーザーの見方を踏まえる必要があるんですね。

野島:そうですね。Web運用は、単に情報を更新し続けることではありません。企業が伝えたいことを、ユーザーにとって分かりやすい形に整え、必要な相手に届く状態にしていくことが大切です。

AIを使えば案を出すことはできますが、その情報をどこに置き、どの言葉で伝え、どの順番で届けるべきかを判断するには、サイトの目的やユーザー理解が欠かせません。そこは、AI時代でも運用に関わる人が見ていくべきポイントだと思います。

対談風景:野島(左)と遠藤(右)が話している様子

運用を見直すなら、まず現状を知る

遠藤:AIを活用しても、最終的にはサイトの目的やユーザー視点をもとに判断することが大切だと分かってきました。一方で、実際の運用では、更新ルールが曖昧だったり、担当者によって進め方が違ったりすることもありそうです。自社サイトの運用を見直したいと思ったときは、何から始めるとよいのでしょうか。

野島:いきなり「なんでも変えてみよう」とするのが正解とは限りません。まずは、今のサイトの目的や運用体制、課題を整理することが大切ですね。似た話ばかりになってしまうのですが…。

サイトを作ってから3年、5年と経つと、当初決めた運用ルールやサイト構造が、今のビジネスや社内体制に合わなくなっていることがあります。事業内容が変わったり、担当部署が変わったり、更新する情報の種類が増えたりすることもありますよね。

遠藤:サイトを作ったときは問題なかったルールでも、時間が経つと今の運用に合わなくなることはありそうですね。

野島:そうです。さらに、「特定の担当者しか更新の仕方が分からない」といった業務の属人化が起きている場合も、見直しの重要なサインです。ほかにも、どの情報をどこに載せるかの判断基準が曖昧だったり、CMSはあるけれど使い方が限られていたりすることもあります。

こうした課題があると、見た目を大きく変えるリニューアルをしても、運用のしづらさが残ってしまうことがあります。逆に、デザインを大きく変えなくても、運用体制やルール、CMSの使い勝手を今に合わせて見直すだけで、サイトがぐっと回りやすくなるケースもあります。

遠藤:リニューアルするかどうかを決める前に、まず運用上の課題を見える状態にしておく必要がありますね。

野島:はい。現状を整理するときは、繰り返しになるけれど、「このサイトは何のためにあるのか」「誰に何を届けるサイトなのか」「どの情報を誰が更新しているのか」「更新や確認のルールは決まっているのか」といった点がチーム内で共有できているかをみていくとよいと思います。

あわせて、自社でどこまで対応するのか、外部パートナーにどこを任せるのかも整理しておきたいですね。CMSがあれば社内で更新できる範囲は広がりますが、すべてを内製化すればよいというわけではありません。担当者の人数やスキル、更新頻度、セキュリティや品質管理の観点によって、適切な分担は変わります。

遠藤:内製か外注かを先に決めるのではなく、自社の体制や目的に合わせて、どこまで自分たちで持つかを考えることが大事ですね。

野島:そうですね。Web運用の課題は、サイトの見た目だけでなく、体制やルール、CMS、確認フローなど、いろいろなところに表れます。だからこそ、まずは現状を把握して、何が本当の課題なのかを整理することが大切です。

そのうえで、リニューアルが必要なのか、運用ルールの見直しでよいのか、CMSや更新フローを改善すべきなのかを考えていく。最初から大きく作り替える前に、今のサイトがどう使われ、どこで困っているのかを知ることが、見直しの第一歩だと思います。

遠藤:まずは現状を知ることから始める。リニューアルも、運用改善も、その整理があって初めて必要な打ち手を考えられるんですね。

お話を聞く前は、Web運用というと日々の更新作業のイメージが強かったのですが、サイトを事業やユーザーに合う状態に保ち続ける仕事なんだと分かりました。そのためには、情報発信や改善だけでなく、守りの土台を整えることも大切なんですね。

野島:そう言ってもらえるとうれしいです。AIでできることが増えていくほど、運用担当者は「何をAIに任せるのか」「どこを人が確認するのか」を考える必要があります。その判断の土台になるのが、サイトの目的やユーザー視点、そして今の運用体制を正しく把握することだと思います。

遠藤:AIをどう使うかを考えるためにも、まずは自社サイトの目的や運用の現状を知ることが大事なんですね。野島さん、今日はありがとうございました。

対談風景:集合写真(野島:左、遠藤:右)

まとめ:AI時代のWeb運用は、まず確認すべきポイントを整理することから

今回、野島さんに話を聞くまでは、Web運用というとニュース更新やページ修正、バナー差し替えといった日々の作業を思い浮かべていました。しかし実際には、Web運用は単に依頼された内容を更新するだけの仕事ではありません。サイトの目的に合わせて情報を適切な状態に保ち、ユーザーに必要な情報が届くように整え続ける取り組みなのだと分かりました。

AIの活用も、Web運用の現場で少しずつ広がっています。議事録作成や情報整理にとどまらず、コンテンツ制作、コード生成、テスト、改善案の整理など、使える場面は増えています。ただ、AIに任せる範囲が広がるほど、「どこを人が見るのか」を決めておくことも重要になります。サイトの目的、ユーザーへの伝わり方、品質や安全性の確認は、運用担当者が引き続き見ていくべきポイントです。

野島さんの話を踏まえると、AI時代のWeb運用で大事なのは、自社サイトが何のためにあり、今どのように運用されているのかを見直すことです。そこで、運用担当者が最初に確認しておきたいポイントを8項目に整理しました。

AI時代のWeb運用担当が確認したい8項目

  1. サイトの目的は何か
  2. KPIや成果指標は決まっているか
  3. ユーザーに届けるべき情報は整理されているか
  4. 更新ルールや確認フローはあるか
  5. CMSや運用体制に無理はないか
  6. 特定の担当者に業務が属人化していないか
  7. AIで効率化できる業務は何か
  8. AIの出力を人が確認・判断する範囲は決まっているか

自社サイトの運用に課題を感じている場合も、いきなりリニューアルを前提に考える必要はありません。まずは、現在のサイトの目的、運用体制、更新ルール、CMSの使い勝手、属人化している業務などを棚卸しし、現状を知ることから始めてみてはいかがでしょうか。